■ 上司に「楽しい?」と聞かれて答えに詰まった日
ある日、上司にこう聞かれました。
「仕事は、楽しいか?」
一瞬、答えに迷いました。
「正直、楽しいと感じたことはない。
でも、面白いとは思っている。」
そう答えた自分に、自分自身が少し驚いたんです。
なぜ「楽しい」とは言えなかったのか?
そもそも「面白い」と「楽しい」は違うのか?
この問いが、私の中のある仮説につながっていきました。
■ 気分の波がなかった時期があった
私は普段、気分の波が激しいほうです。
ついこの間、気分が沈んでいたときに、上司にそう言われたのです。
ある時期は前向きに働けるのに、
たまになぜかイライラしたり、無気力になったりする。
でも、思い返すと1つだけ、
気分が安定していた時期がありました。
それは、院長が骨折で長期不在だったとき。
あの期間、私は自然と動けていました。
不機嫌になる余裕なんてなかったし、
誰かがやらなきゃ、という空気の中で、
「自分がやるしかない」という感覚が、
私を支えていた気がします。
つまり、
外部から頼られたり、責任を持たされた時、
自分の気分の波は小さくなる
そんな法則に気づいたんです。
■ じゃあ、自分には“エンジン”が無いのか?
そう思った瞬間、ふと浮かんだ言葉がありました。
「私には、自分を動かすエンジンが無いのかもしれない」
他人に頼られていれば元気になれる。
けれど、自分一人の時にはガクンと落ちてしまう。
自分で自分の背中を押せない感覚が、ずっとある。
正論は分かってるんです。
「自分のケツは自分で叩くべきだ」って。
でも、
それができないとき、どうすればいいのか?
そのヒントが、「面白い」と「楽しい」の違いにありました。
■ 「面白い」と「楽しい」は、違う感情
仕事は楽しくない。でも面白い。
冒頭の、自分で発して自分で驚いたこの言葉の意味を、少し考えてみました。
まずこの二つの違いについて
● 楽しいとは?
- 感情が軽く、安心感があり、心が穏やか
- 誰かと共有する、笑える、ほっとする
● 面白いとは?
- 好奇心が刺激される、頭を使う、謎を解くような感覚
- 成長や達成感と結びつく
つまり、「楽しい」は感情の波を穏やかにしてくれる要素。
一方、「面白い」は波を生み出す要素。
私は、仕事の中で「面白さ」は感じていたけれど、
「楽しさ」を味わっていなかったんです。
それは常に荒波の中にいるような感覚。
大波を越えれば楽しく、
波にのまれれば気分は沈む。
■ 気分の波を穏やかにするには、「面白さ」と「楽しさ」をつなげる
ではどうしたらよいのだろう?
無理に保とうとするのは苦しいものです。
気分が安定している時期だけが、
仕事が「楽しかった」からではありません。
恐らく、
責任や頼られる感覚を通じて、
「面白さ」が「やりがい」に変わっていたからだと気付きました。
だったら、こんなアプローチができるかもしれません。
✅ 面白さ → 楽しさ へ変換する3ステップ
1. 面白かった出来事を振り返る
「今日は何が面白かった?」を、毎日1つ書いてみる。
例:
- Aさんの症状が予想通りに改善した
- 自分の仮説が当たった
- 患者さんが笑顔になった
2. 「なぜ面白かったか?」を考える
- 成功体験?
- 誰かの役に立てた?
- 自分の成長を感じた?
→ この問いが、「面白さの源」を明確にします。
3. 「楽しかった部分」を意識的に探す
- 患者さんの笑顔を見た時、自分も少し嬉しかった
- 話しかけられて、ちょっと和んだ
- 工夫してうまくいって、気分が良かった
→ 小さな「楽しい」を拾っていくと、気分が安定していきます。
■ 浮き沈みの激しさは、鈍感だからではない。敏感だからこそ
気分の波がある人は、「気づきやすい人」でもあると思っています。
自分の感情、周囲の空気、相手の反応に、
無意識に影響を受けてしまうからこそ、波がある。
でもだからこそ、
面白さも感じやすいし、深く物事を考えられる。
それは決して弱さではなく、
感受性の高さなんじゃないかと思います。
■ 自分を動かすエンジンは、育てていくもの
私のように、
「自分のケツを自分で叩く」ことが苦手でも大丈夫です。
まずは、
- 面白かったことを見つける
- それを「楽しい」に変換してみる
- そして、少しずつ自分のペースで積み上げていく
それだけで、内側から動ける感覚は育っていくと思います。
▼ 最後に
あなたは、最近「面白かった」と思えたこと、ありますか?
その中に、あなたを支えてくれるエンジンの種が、きっとあるはずです。
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