最近、なんでもAIが教えてくれるようになりましたね。
知識だけなら、調べればすぐに出てくる。私もつい、知識で満足してしまっていた時期がありました。
でも、患者さんに伝えたいことが、どうしても“伝わりきらない”気がして…。
それがずっと引っかかっていたんです。
「やっぱり、自分で体験しなきゃ分からないことってあるよな」
そう思って、私はピラティスを始めて、最近ではバレエにも挑戦するようになりました。
✍️ 第二章:なぜ“伝わらない”と感じたのか
私は鍼灸師として、整骨院で働いています。
整骨院として稀なスポーツされている方、バレリーナ、ダンサーさんがほとんどをその占めています。
患者さんの体の状態やケガについて説明していると、
「うんうん」とうなずいてくれる。
でも、どこかスッと腑に落ちていないような反応をされることがあるんです。
特に、スポーツ外傷や競技復帰の話になるとき。
やったことのない競技については、
同僚に聞いたり、YouTubeで動作を何度も見たり。
自分なりにたくさん勉強してきました。
おかげで、
「詳しいですね」「やってたんですか?」と聞かれることもあります。
言葉としては“伝わっている”ように見える。
でも、どこかで思ってしまうんです。
「本当に“伝わってる”んだろうか?」
私の同僚たちは、野球、水泳、バレーボール、バスケ、テニス……
さまざまなスポーツを実際に経験してきた人たちばかり。
私はというと、サッカーと、少しだけハンドボール。
(しかもハンドボールは半年だけ。正直、辛くて辞めました。)
この“差”が、じわじわと感じられてくるんです。
たとえば、競技特性を本当に理解していないと、
- この動きで、どこがケガしやすいのか
- なぜ、その痛みが出るのか
- どんな気持ちで、復帰を目指しているのか
そういった部分に対する“言葉の解像度”が、どうしても違ってくる。
理屈では分かっていても、
自分の中に「落ちていない」感覚があるんです。
そして、復帰に向けたリハビリやプランを立てるとき、
実体験のある同僚との“見えている世界の違い”を、はっきりと感じます。
もちろん、患者さんに誠実に向き合い、
情報を集め、丁寧に対応することに間違いはありません。
でも、ふとしたときに思ってしまう。
「あの人には“わかってもらえそう”って、
やっぱり、似た経験をしてる人の方が感じるんじゃないか?」
✍️ 第三章 :ピラティス・バレエで得た“言葉の重み”
これまでも、患者さんの動きや競技特性については、
理論として理解していたつもりでした。
「こういうときに、この筋肉が使われる」
「この可動域が足りないと、こんな負荷がかかる」
そういった知識は、頭の中にはありました。
でも、前の章でもお伝えした通り、
理屈では分かっていても、自分の中に“落ちていない”感覚がある。
そこで私は、言葉の解像度を上げるために、
多くの患者さんがやっているピラティスを始め、
最近ではバレエにも挑戦し始めました。
そして、思いました。
「あれ、全然うまく動かない…!」
頭では理解していたはずの動きが、
実際に体でやってみると、まるでイメージと違う。
「こんなにバランスが取りにくいのか」
「思っていたより、可動域が必要なんだ」
「この筋肉、意外と使ってる…」
そうやって、自分の中に“体感としての気づき”がどんどん増えていったのです。
そして、その気づきは、言葉にするときにも、ちゃんと表れる。
患者さんに説明するとき、
「○○の筋肉が弱いですね」だけでなく、
「ここ、私もすごく使いにくかったんですよ」と伝えられる。
それだけで、反応が変わります。
「あ、分かってくれてるな」って。
そんなふうに表情が緩む瞬間が、何度もありました。
言葉そのものは同じでも、
そこに“経験”が宿っているかどうかで、伝わり方はまるで違う。
こうして、ようやく私の中で“伝わる言葉”の輪郭が見えてきました。
でもこれは、きっと私だけの話じゃないはずです。
あなたにも、こんな経験はありませんか?
「あの人、話してることは正しいんだけど、なんかピンとこないな…」
「自分と似た経験がある人の言葉の方が、すっと入ってくるな」
そんな感覚、きっと誰もが一度は感じたことがあると思うんです。
だからこそ私は、
経験のある言葉が、人の心を動かすんだと思うのです。
✍️ 第四章「AIと人間の言葉、その違い」
最近では、何か分からないことがあれば、とりあえずGoogle検索。
すると、ページのいちばん上に、
AIがいくつものサイトから、答えをまとめて教えてくれる。
とても便利ですよね。
私も、よく使っています。
だからこそ、こんなブログを開いてくださったあなたに、心から感謝したいのです。
たとえば、「○○の原因」「△△ストレッチ」「□□の効果的なやり方」
ほとんどのことは、検索すればすぐに情報が手に入る時代です。
でも、ふと思うことがあるんです。
「それって、“わかった気”になってるだけじゃないか?」
ちょっと想像してみてください。
あなたがオススメしたカフェや映画、お店に対して──
「ネットで見たよ!すごい人気らしいね!」
「レビューで○○って書いてあったよ!」
…って言われるのと、
「この前行ってきたよ!」
「観てきたよ、あのシーン泣けた!」
「試してみたけど、本当に良かった!」
って、“実際にやってみてくれた人”から言われたときの感覚。
どっちが嬉しいですか?
きっと後者の方が、言葉の温度も、伝わり方もまるで違うはずです。
そう、“言葉の解像度”が違うんです。
AIは、確かに知識を与えてくれる。
でもそこに、「体験」や「感情」はないんです。
私がピラティスやバレエを通して感じたことも、
同じようなことかもしれません。
ただ理屈を説明するのではなく、
「自分が実際にやってみて感じたこと」を交えるだけで、言葉が深く届く。
患者さんの表情がふっと緩んだあの瞬間。
それは、正しい答えではなく、
“自分と重なる実体験”を共有したからこそ起きた反応でした。
情報は、誰でも持てるようになった時代。
でも、経験からくる“解像度の高い言葉”は、今も人間だけのもの。
そしてこの記事もまた、経験から生まれた“言葉”です。
✍️ 第五章:あなたの言葉には、あなたにしか出せない重みがある
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
私がこのブログを書こうと思ったのは、
「知識」や「正解」を届けたかったからではありません。
むしろその逆で、
経験してみたからこそ見えたことや、迷いながら感じたことを、
自分の言葉で残しておきたいと思ったからです。
最初の方の記事は”誰かの真似事”になっていますが・・・(笑)
ピラティスやバレエを始めて、
患者さんに伝える言葉が少しずつ変わってきたように感じました。
勉強して得た知識に、自分の“体感”が重なると、
同じ言葉でも、不思議と届き方が変わるんです。
そして、この記事もまさに──
私が体験し、考え、感じてきたことから生まれた“解像度の高い言葉”のひとつです。
ふと思うんです。
あなたにも、こんな経験はありませんか?
- 行動してみたら、「あ、やってよかった」と思えたこと
- 伝えた言葉に、「ありがとう」と返してもらえた瞬間
- AIには書けない、“自分にしか出せない言葉”があったこと
それって、すごくかけがえのないことだと思うんです。
誰かの役に立つとか、正解を言うとか、
そんなに大それたものでなくてもいい。
あなたの経験からしか生まれない言葉は、
きっと、誰かにちゃんと届いています。
だから私はこれからも、
経験を通してしか出てこない言葉を、大切にしていきたいと思います。
上手じゃなくてもいい。
誰かに伝えるだけじゃなく、自分自身の記録としてでもいい。
背伸びせず、でもまっすぐに。
そんなスタンスで、このブログを続けていきます。
これまでの言葉を読みながら、
少しでも「そうかも」と思ってくれたあなたへ。
「あなたにしか出せない“言葉の重み”って、どんなときに生まれますか?」
正しいより、届く言葉を。
そんなふうに、私はこれからも書いていきます。
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